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【アドレナリン競馬】レース記事の「馬の評価」「過去データ分析」の書き方

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この記事は「最低限これをやればOK!」というマニュアルではなく、「記事の品質を確かめる指標」として使ってもらえればと思います。

目次

馬の評価の書き方とチェックリスト

馬の評価で書いて欲しいのは以下の2点。

  1. その馬はどんな馬なのか
  2. そのレースの好走率が高いかどうか

①は「客観的な事実」をプロ視点から説明し、②は書き手の「主張」を盛り込みます。

②の部分は生成AIでも難しく、人間がやった方が読み物としての価値が高まります。

きちんとこの2点が盛り込まれていれば、良い内容の記事と判断できます。

①:どんな馬?を読者目線で書いている

プロの予想家として、「この馬はこんな馬です」と言い切ってあげましょう。

「想定1番人気のこの馬って、どんな馬なの?」読者はこのような疑問を抱いています。

どんな馬なのかを説明する要素は以下の通り。

馬の説明項目内容・具体例
代表的な勝ち鞍どんなレースを勝っているのか(例:重賞勝ち、1勝クラスでの快勝など)
血統・兄弟姉妹大血統(例:サンデー系、キンカメ系、欧州血統)から傾向を分析。兄姉の戦績も参考に(例:半兄がダート重賞馬)
前走・近走の内容前走の着順や内容。負けていても言い訳が効く内容か?(展開不利・位置取り不利など)
脚質逃げ・先行・差し・追い込みの型が決まっているか。自在性があるか。コメントで陣営がどう語っているかも重要。
得意(苦手)な舞台コース形態(右回り・左回り)、直線の長さ、坂の有無などによる向き不向き(例:東京向き、福島苦手)
得意(苦手)な枠枠順による影響(例:外枠からスムーズに運びたいタイプ、内で揉まれるとダメ)
得意(苦手)な展開・ペースハイペース・スローのどちらが得意か。タフな競馬になると台頭するタイプなど。
得意(苦手)な馬場状態高速馬場向き・時計のかかる馬場向き・重馬場苦手など、馬場適性。
気性・折り合い気性難・掛かるタイプかどうか。距離の向き不向き(例:距離短縮歓迎など)
騎手との関係継続騎乗か、乗り替わりか。乗り慣れた騎手の方がいいタイプか、相性など。

②:そのレースの好走率が高いかどうか

最初にレース展開を予想してから、有力馬の評価を書きましょう。

どんな馬なのかを説明したら、次は「そのレースで狙うべきかどうか」という主張になります。

例えば、執筆しているレースで

「開幕週で馬場が綺麗」
「小回り・直線が短いコースで内枠の成績が良い」
「先行馬の成績が良い」
「ミドルかハイペースになりやすい」

という傾向があったとします。

1番人気の馬が「先行馬」「小回りコースの実績がある」「ハイペースで好走実績がある」という特徴があれば、そのレースでも好走率はかなり高いと判断できます。

能力が高い+レースの適性がある

この2点が噛み合っていれば、その馬の評価は高く設定していいでしょう。

一方で、「能力が高いんだけどレースの適性は低い」という馬は、「人気の割に好走率が低い」という旨を記載すると、質の高い予想に仕上がります。

レースの展開予想に役立つ項目

分類項目チェックポイント
レースの流れ・展開ラップ・ペース傾向過去の傾向から、逃げ・先行有利?差し・追い込みが届く?→前傾ラップ or 後傾ラップか、持久力戦 or 瞬発力勝負か
メンバーの脚質構成逃げ馬の有無・数。→逃げ馬多数でハイペース懸念?先行勢が手薄?差し・追込み勢に展開利がある?
枠の並び逃げ馬が内か外か、有力馬が内で包まれそうか。→位置取りに影響しそうな配置?
馬場傾向開催している競馬場の馬場状態当日の馬場傾向:・内前有利(開幕週・乾いた馬場)・外差し有利(馬場荒れ・雨の影響など)
ラチ沿いの状態ラチ沿いが綺麗で内有利?それとも荒れていて外が伸びる?
時計の出方高速馬場で前が止まらない?時計のかかる馬場でスタミナ型有利?

有力馬評価の書き方の具体例(2025年宝塚記念)

平日段階で想定オッズが上位の馬も、ネガティブな要素を「粗探し」しましょう。

「粗探し」の根拠は、レースの展開予想や馬の能力が人気に見合うかどうか、という視点が重要になります。

参照元

上記は宝塚記念2025の記事の、平日段階の想定オッズ1番人気と2番人気の評価です。

べラジオオペラは概ね高評価ではあるものの、1着固定よりは1~3着内が堅い軸馬候補という認識でした。

アーバンシックは平日段階で想定2番人気でしたが、「叩きの内容が物足りない」といったネガティブな要素が多く、人気の割に好走率が低いという見解でした。

結果、レース当日は6番人気まで下がり、着順も14着だったので、ネガティブな評価を下したのは結果的に正解でした。

ダメな例

馬柱(過去の戦績)を見れば分かる内容をまとめただけ

例えば、この馬の評価を書くときに、以下のような評価だと30点です。

30点:ダメな例

2200mの神戸新聞杯と宝塚記念を勝利しているので、2200mが得意距離です。
阪神競馬場で2勝しているので、阪神競馬場が得意舞台です。
稍重~重馬場で好走実績があるので、重馬場巧者です。
武豊騎手と相性が良いです。

なぜこの評価がダメなのかというと、馬柱を見れば誰でも分かるから、です。

生成AIで作成すると、おそらくこの30点で止まると思われます。(ハルシネーションがあれば減点)

読者には、レース映像を見なければ分からない情報が欲しい、ほかの競馬ファンと差別化できる情報が欲しいといったニーズがあります。

なぜそんなニーズがあるのかというと、競馬予想記事を読む競馬ファンのインサイトは、「馬券を当ててお金を増やしたい」だからです。

馬柱を見れば誰でも分かる情報だけを書いても、読者のインサイトを満たせず、いずれアドレナリン競馬を読む人はいなくなってしまいます。

なぜ前走は勝てたのか、なぜ2~4走前は敗れたのか、近走の勝因と敗因を説明できなければ、次走の評価も下せません。

90点:どんな馬なのか&どの条件で狙えるのか

ゴールドシップ産駒なのでスタミナとパワーが武器
宝塚記念は武豊騎手が刻む絶妙なラップと折り合いが噛み合った
折り合いに課題があるので2200m以上は厳しい
2200m以下かつ時計のかかる馬場が理想の条件

過去データ分析

データの背景を深掘りし、90点のデータ分析を目指そう

過去データの分析は奥が深い分野です。

データの背景には必ず理由があるので、その理由を読者の代わりに考察してあげるのがメディアの価値であり、記事作成者の腕の見せ所です。

例として、日本ダービーの前走別データの深掘りをしてみます。

前走で皐月賞に出走した馬の日本ダービーの成績:8-9-7-74

30点:よくあるデータ分析

日本ダービーは前走皐月賞組の勝率が8割
→勝ち馬は皐月賞組から探しましょう

前走○○に出た馬の成績、というデータは多くのメディアで目にしますが、このデータは数字だけではあまり意味がありません。

なぜなら、データだけでは実用性がないため、予想の組み立てに活かせないからです。(データだけだと、皐月賞の馬を機械的に全頭買う、という馬券になってしまう)

なぜそのレースに出た馬の成績が良いのか、必ず背景に理由があるので、データの背景を深掘りしてみましょう。

先ほどのダービーの例(皐月賞組が8勝)は、以下のような背景があると説明できます。

皐月賞に出走できるのは強い馬だから
皐月賞に使った馬の多くは事前にダービーを目標にしているから

皐月賞もダービーも世代限定G1なので、世代トップの馬が出走する最もハイレベルなレースです。

60点:少し踏み込んだ例

日本ダービーは前走皐月賞組の勝率が8割
→皐月賞に出走している馬のレベルが高い
→そもそも皐月賞に出走する馬はダービーを目標に仕上げている

ここまで書くことで、読者は「皐月賞に出走する馬はレベルが高いから、他のステップレース組より成績がいいのか…」といった思考のヒントが得られます。

より良いデータ分析をするために、次は「反例」を探します。

前走で皐月賞に出走した馬の日本ダービーの成績:8-9-7-74

過去10年で8勝が皐月賞組ですが、「逆に皐月賞に出ていないダービー馬の2頭はどんな馬なの?」という視点があると60点以上が目指せます。

反例を探していると、日本ダービーでとある法則を見つけました。(SNSでも同様の考察がありました)

それは、「高速決着だった年の皐月賞は、ダービーの結果につながらない」というものです。

皐月賞の高速決着は小回りコースなのでコーナリング・器用さが重要ですが、日本ダービーは直線の長い東京コースで、先行力・持続力・上がりが求められるため、要求される能力が全く違います。(あと、高速決着で負荷がかかって疲労が抜けない、という考察も)

この考察を踏まえて、以下のようなデータ分析になれば90点です。

90~100点:反例を用いて今年の傾向を予測

日本ダービーは前走皐月賞組の勝率が8割
しかし、高速決着の皐月賞は日本ダービーと接続しない
→2025年はレコード決着=超高速決着
→勝ち馬ミュージアムマイルは好走率が低い

90点か100点かどうかは、考察が的中していたかどうか、です。

この場合、皐月賞馬ミュージアムマイルがダービーを制覇していれば90点、4着以下なら100点です。

考察が外れていても90点です。「外れたからダメ」ではなく、「独自の視点を持って考察すること」を称賛しましょう。

日本ダービーの前走別成績の考察

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